クレジットカードの引き落とし日に残高不足で支払いができなかった経験はありませんか。
「うっかり入金を忘れただけ」と思っていても、滞納は信用や生活に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
この記事では、カード支払いを滞納した場合に起こる流れと、放置した場合のリスク、そして正しい対処法について詳しく解説します。
カード支払いを滞納するとすぐに起こること
引き落とし日に口座残高が不足していると、まず自動引き落としが失敗します。
カード会社によっては翌営業日や数日後に再引き落としを行う場合もありますが、すべてのカード会社が対応しているわけではありません。
この段階で未入金が確認されると、カード会社からメール・SMS・電話・郵送で連絡が来ます。
この時点から遅延損害金の発生が始まります。
遅延損害金は一般的に年14.6〜20%前後で設定されており、支払いが遅れるほど負担が増します。
さらに、支払いが滞った時点でカードの利用が停止されるのが通常です。
つまり、新たな買い物やキャッシングができなくなる状態になります。
滞納後1週間〜1ヶ月に起こること
支払いが1週間以上遅れると、カード会社からの督促が本格化します。
電話での連絡が増え、自宅や勤務先に電話がかかることもあります。
また、郵送で「督促状」や「催告書」が届くようになります。
この頃になると、カード会社は延滞情報を信用情報機関(CIC・JICC ・KSCなど)へ報告する可能性が出てきます。
信用情報機関に「延滞」として登録されると、他のカード会社や金融機関にもその情報が共有され、新たなクレジット契約やローン審査が通りにくくなります。
また、カードの利用停止が続くだけでなく、自分が親会員となっている家族カードやポイント、マイルなどの付帯特典も失効することがあります。
支払いが遅れることで、思わぬ形で損失が生じることもあるのです。
滞納後2ヶ月〜3ヶ月で深刻化する事態
滞納が2〜3ヶ月続くと、事態は急速に悪化します。
この時期になると、信用情報機関に「異動情報」として登録される可能性が高くなります。
異動情報とは、いわゆる「ブラックリスト入り」と呼ばれる状態です。
61日以上、もしくは3ヶ月以上の延滞が続いた場合に異動情報として登録されるのが一般的で、その記録は完済後も5年間残り続けます。
この期間中は、クレジットカードやローンの新規契約が極めて困難になります。
住宅ローンや自動車ローン、携帯電話の分割購入なども審査に通らなくなる可能性があります。
さらにこの時期には、カード会社から「期限の利益の喪失」を通知されることがあります。
これは分割払いやリボ払いができなくなり、残金を一括で支払わなければならなくなる状態です。
この時点で放置すると、法的手続きへ移行するリスクが高まります。
滞納後3ヶ月以降に起こる法的措置
3ヶ月以上支払いを放置すると、カード会社は債権回収会社(サービサー)に回収を委託したり、債権を譲渡することがあります。
この段階では、回収会社から電話・書面による督促が頻繁に行われます。
それでも支払いが確認できない場合、最終的には裁判所を通じた法的手続きが取られることがあります。
カード会社が「支払督促」などを申し立て、裁判所から書面が届くようになります。
支払督促を受けてからも放置をしていると、強制執行が可能となる状態に陥ります。
強制執行が行われると、給与や銀行口座の差押といった措置が取られることもあります。
給与差し押さえでは、原則として手取り額の4分の1が強制的に回収されます。
さらに勤務先に裁判所から通知が届くため、職場に滞納が知られてしまうリスクもあります。
信用情報への影響と回復までの期間
カード支払いの滞納は、信用情報に影響を残します。
短期の遅延であっても「入金遅れ」として記録され、長期延滞は「異動情報」として扱われます。
特に異動情報は完済から5年間残り、その間はローンやクレジットの審査が通らなくなります。
また、既に保有している他のカードについても、更新時に利用停止や契約解除となるケースが少なくありません。
携帯電話の分割払い契約や、信販系保証会社を利用する賃貸契約の審査にも影響します。
信用情報を回復させるためには、まず滞納分を完済することが前提です。
完済後も記録が消えるまでの期間は、延滞を再発させないよう注意が必要です。
滞納してしまった場合の正しい対処法
① すぐにカード会社に連絡する
支払いができないと分かった段階で、まずはカード会社へ正直に連絡しましょう。
無視や放置は最悪の対応です。
多くのカード会社は、事前に相談すれば「再引き落とし」や「支払い期日の延長」に応じてくれることがあります。
② 支払い予定を明確に伝える
「給料日後に支払える」「〇日までに入金できる」と具体的な日付を伝えることが大切です。
回収の見込みがあると判断されれば、強い督促や法的手続きが避けられるケースもあります。
③ 一時的に家族などに立て替えてもらう
一時的な資金不足であれば、家族や親族に立て替えをお願いするのも一案です。
延滞を早期に解消できれば、信用情報への登録を防げることもあります。
④ 返済の見込みがない場合は専門家に相談
複数のカードやローンを滞納している場合、または収入的に返済が難しい場合は、弁護士や司法書士による債務整理を検討する段階です。
債務整理という選択肢
支払いの見通しが立たない場合、法的に借金問題を整理する「債務整理」が有効です。
債務整理には次の3種類があります。
- 任意整理:弁護士や司法書士がカード会社と交渉し、毎月の返済額を下げたり、利息をカットして分割返済する方法。裁判所を通さないので、家族や職場に知られにくい。
- 個人再生:裁判所を通じて借金を大幅に減額する手続き。住宅ローン特則を利用すれば、マイホームを手放さずに再生可能。
- 自己破産:返済義務を免除して生活を再建する方法。財産の処分や手続き期間中は職業制限があるが、返済不能な場合の最終手段。
債務整理を行うと信用情報に一定期間記録が残りますが、滞納を放置して強制執行されるよりも早期に整理した方が将来的な影響は軽く済みます。
早めに専門家へ相談することで、返済負担を減らし、生活を立て直すことができます。
滞納を防ぐための予防策
- 引き落とし口座の残高を定期的に確認する
- 給与口座と同一口座に設定して入金忘れを防ぐ
- 支払い日前にリマインダーを設定する
- カード利用額を手取り収入の3分の1以内に抑える
- アプリやWEB明細で毎月の利用状況をチェックする
- リボ払いやキャッシングは安易に利用しない
複数カードを持つ場合は、引き落とし日を把握し、できるだけ支払い日をまとめることも効果的です。
また、支出が多い場合は固定費やサブスクリプションの見直しも検討しましょう。
まとめ:放置せず、早めの連絡と相談を
カードの引き落とし日に支払いができなかった場合、最初は小さなミスでも、放置すれば信用情報の傷、利用停止、法的手続きへと発展します。
特に長期間の滞納は「異動情報」として5年間残るため、慎重な対応が必要です。
支払いが難しいときは、カード会社への連絡を最優先に。
事前相談で救済措置を受けられることもあります。
それでも返済が難しい場合は、弁護士や司法書士に相談し、債務整理による生活再建を検討してください。
計画的なカード利用と早めの対応こそが、あなたの信用と生活を守る最善策です。
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司法書士なみき法務事務所
監修者:司法書士なみき法務事務所 代表 並木康剛
埼玉司法書士会所属 第2017号
【経歴】
15年にわたり、債務整理案件(任意整理・自己破産・個人再生)に対応し、多くの相談者様の生活再建をサポートしてまいりました。一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。


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